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ナカムラテツオのヒトリゴト


by fullnelson65
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エレファント

エレファント_c0042451_0145053.jpg
ガスヴァンサント監督の「エレファント」を観た。
1999年、米コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件がモチーフとなった映画。

物語は淡々と、画面は思春期特有の、はかない輝きを放ちながら進む。
キャメラは登場人物たちにぴったりと寄り添い、時に同化しながら、エグルストンのスナップショットの様な美しさで迫ってくる。必要以上な饒舌さは無く、全てを観るものの判断に委ねた映画。
同じテーマを扱いながら、時代の人、マイケルムーアの「ボウリングフォーコロンバイン」とは全く対極のアプローチだ。
観客を信頼し、しゃべりすぎず、映画で何かを変えられるとか、糾弾できるというカン違いもない。中途半端な技術しかなく、伝えるものに自信が持てないと饒舌になってしまうのは、音楽も同じで、時として自分も陥る事がある。マイケルムーアがこの映画を観て、なんとコメントするのか聞いてみたいな。

ただの投げっ放しとは違う。
緻密な計算の元、創られた映画らしい映画。
この手にありがちな感性やセンスに頼った映画とは明らかに一線を画す。
目から鱗。傑作。
by fullnelson65 | 2005-01-09 13:34 | 映画